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[vol.27] グリーングラブ・プロジェクトで目指す野球の「ゼロイチ」

2026.01.08プロジェクト
[vol.27] グリーングラブ・プロジェクトで目指す野球の「ゼロイチ」

 

 フィールドフォースが毎年、クリスマスの時期に行っている「グリーングラブ・プロジェクト」。野球未経験の子どもたちに、スターター向けグラブをプレゼントする、恒例の一大企画だ。昨年12月にも募集を行い、多くの応募を受けて抽選を実施、クリスマス前には無事、商品発送を終了した。6年にわたり続いている同プロジェクトを通じて、フィールドフォースが目指すのは──。

 

野球離れの今、できることとは?

 全日本野球協会(BFJ)、日本野球機構(NPB)など、プロ、アマチュアの団体が集まり構成する日本野球協議会。その普及・振興委員会が「野球普及振興活動状況調査」という報告書を公開している。
 幼児から小、中、高校、大学生、そして成人まで、各年代のチームや学校の部活の数、さらに各種の地域別データと、競技人口から大会、イベントの開催状況など、活動の実態を調査し、包括的に捉えた上で分析し、それを土台として競技人口の増加を目指すべく編纂された文書だ。
 その2024年版によると、競技団体に登録している数をまとめた野球人口について、2007年の161万3,156人から2023年には93万9,605人へと、16年間の間で67万3,551万人減少した事実が示されている。さらに、全体で競技人口が大きく減少している中でも、「特に、小学生の軟式・硬式野球及び全軟連の学童の選手登録者数は減少しており、小学生の野球離れが危惧される」と厳しい現実を指摘している(その中にあって、女子選手が多くの年代で増加傾向にあるのは救いではあるが)。
 その上で、今後の野球普及振興活動のための方策について、第一に掲げているのが「子どもや未経験者が野球に触れる機会の拡大」である。

 

「プレーヤーの真の力になる」ために

 野球未経験者に、野球を体験してもらう機会の提供──。
「その重要性は、われわれも同じように感じています」とフィールドフォース社長・吉村尚記が語る。

 

 フィールドフォースの看板商品ともいえる、トスマシン、オートリターンネットシリーズなど、多くの練習ギアのメインユーザーは学童野球、少年野球の選手たちである。
 それらユーザーである野球少年たちを取り巻く環境は近年、厳しさを増す一方だ。野球禁止を掲げる公園が増えるなど、自由に野球に興じることができる場所は減少の一途をたどっている。親子でキャッチボールをしようにも、場所を探すところから始めなければならないような状況なのだ。
 フィールドフォースは、そうした環境下でも、省スペースで効率よく、本格的な練習を可能にする様々なギアを提案し続けている。また、その一方で、ボールパーク事業を柱として、「空間」と「機会」を提供することも使命と考えている。
「プロ野球選手を頂点とする野球人口のピラミッドを考えると、その底辺となるのは、学童球児など低年齢層のプレーヤーです。アイデアの詰まった練習ギアにより、手軽に練習できる環境を創出、提示することで、子どもたちに野球の魅力を感じてもらう。これがフィールドフォースの商品に込められた思いです」
 吉村が説明する。
「ただ、それにとどまらず、未経験の子どもたちにも野球の楽しさを知ってもらい、底辺をより充実させてゆくこともまた、極めて重要な、われわれに課せられたタスクだと考えています」

「プレーヤーの真の力になる」という企業理念のもと、野球競技のピラミッドにおける「底辺」「裾野」を支えることを社是としてきたフィールドフォースのもう一つの取り組みが、野球未経験の子どもたちに野球の楽しさを伝え、新たに始めてもらおうというもの。支えるだけでなく、プレーヤーを増やしていくための施策もまた、重要なミッションの一つなのだ。

 

6年目のグリーングラブ・プロジェクト

 その一例が毎年、クリスマスの時期に展開している「グリーングラブ・プロジェクト」。柔らかなピッグスキン(豚革)を使い、まだ握力が弱い6~7歳の子どもにぴったりの「グリーングラブ」、それよりもさらに小さい、3~5歳児用に開発された「グリーン・マメグラブ」を、野球未経験の子どもたちにプレゼントしようという企画だ。

 同プロジェクトを始めたのは2020年。6年目となった昨年も、12月に入り、募集を告知するや、受け付け開始と同時に数多くの応募が届いた。抽選の末、1,000個のグラブを子どもたちに送付。SNSではグラブを受け取った報告と、喜びの声が多く寄せられている。
「申し込みの数は毎年、増えていますね」と吉村。フィールドフォースの知名度が上がったのか、フォロワー数が増え続けている、吉村自身のSNS発信のおかげなのか。「理由は定かではありませんが、より多くの方にこちらからの声が届き、関心を持ってもらえるのはありがたいこと。地道ではありますが、これからも続けていくべき取り組みですし、今後への励みにもなります」。直接、あるいはSNS上で寄せられる当選者からのメッセージに笑顔を見せつつ、プロジェクトの意義をあらためて感じている。

 また、今回から、新たな取り組みとして、サイト「Baseball Samurais」を展開する、アメリカでも同様のプロジェクトを実施。こちらも予想を上回る大盛況となった。
 アメリカから寄せられた多数の応募について、会長の大貫高志は「SNS内で広告を出したりもしましたし、アメリカにはこんなプレゼントは少ないでしょうから、それも手伝ったんだと思いますよ」と推測する。サイトの宣伝効果も見込んでの実施だが、野球発祥の国である、かの地でもグリーングラブをきっかけに野球を始める子どもたちがいるのだとすれば、それもまた、喜ばしいことではある。

 クリスマス時期にプレゼントしているグリーングラブは、デザインこそ特別バージョンだが、それ以外は市販している「グリーングラブ FPSG-255GRN」「グリーン・マメグラブ FPSG-210」と同じものだ。
「グリーングラブにも、フィールドフォースの思いが詰まっています。初めて手にするグラブだからこそ、しっかりした作りのものでありたい、という考えです」
 吉村が説明する。
「サイズにも素材にもこだわった本格仕様のグラブだからこそ、おもちゃのグローブでは感じられない、『捕る楽しさ』を実感することができるんです。グリーングラブでボールを捕る楽しさを知り、野球を始めてくれたら、こんなうれしいことはありません」
 グラブに加えて、現在、開発中の製品もある。
「グリーングラブを使ってキャッチボールをするのに適したボールです。グリーングラブ自体は、軟式球で使うことを想定して作られていますが、このグラブを使う小さな子たちにとっては、軟式球では大きく、硬い。ただ、既存の柔らかいボールは、ほとんどが弾みすぎる。グラブの中で暴れてしまっては、捕る楽しさは感じられません」
 柔らかくて弾みが少なく、捕る楽しさを感じられるボール──。グリーングラブの魅力を高めてくれるであろうボールの登場は間近だ。

 

ほかにもあるぞ「ゼロイチ」の取り組み

 グリーングラブ・プロジェクトのほかにも、野球未経験の子どもに楽しさを知ってもらおうという、「ゼロイチ」の取り組みがある。
 吉村の盟友でもある、元NTT東日本野球部監督の飯塚智広さんをサポートする形で、小学校の児童を対象に行っている「投げ方教室」もその一つといえるだろう(⇒こちら)。

 一企業が単独で実行できる取り組みの数や規模は、決して大きなものではない。しかし幸いなことに、アイデア満載の製品を実際に使用し、あるいは吉村のSNSによる発信を通じてつながった指導者やプレーヤー、ときにプロ選手も含めた、少なくない野球人がフィールドフォースに興味を持ち、さまざまな提案を寄せてくれている。
 NPBもその一つ。子どもたちの関心を引きそうなフィールドフォース製品に注目し、幼稚園児を対象とした普及イベントでの使用を申し出てくれているのだ。
「こうした皆さまとのつながりは、本当にありがたいですね。同じ“思い”をもって活動する方たちの力になり、できる限りサポートしてゆくこともまた、フィールドフォースに課せられた務めであることに違いありません」と吉村。「野球は、日本の大切な文化。それを守り、発展させてゆくのも、われわれにとって必要な仕事だと思っています」

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